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ミューラル(壁画)を様々な視点から紹介するメディア

【壁主さんに聞いてみた #01】佐々木 裕さん

ミューラルを描く上で欠かせないものといえば、壁。

WALL SHAREでは、建物の壁を貸してくださるオーナーさんを、“壁主”と呼んでいます。

「なぜ壁を貸してくださったのか?」

「描かれた作品について、どう思っているのか?」

そんな疑問にお答えするべく、広報・おかゆ川が壁主さんへインタビューを行う企画。


interviewer&Text おかゆ川


第1回目は、淀川区にミューラルを増やすプロジェクト、「淀壁」の第一弾となる作品を壁に描かせてくださった佐々木さん。建物は、なんと自身が経営する会社のオフィス。完成後から約2年たった今、なぜ壁を貸してくださったのか理由などお話を伺いました。


Mural by BAKIBAKI

淀川区役所のすぐ隣にあるこちらの作品「淀川のナイチンゲール」は、コロナウイルスが蔓延している中、懸命に働いてくださっている「医療従事者の方々への感謝と敬意」の想いが表現されています。



所有する建物の壁に、絵を描くことを即決した理由。


おかゆ川(以下、O):淀川区での生活は、どのぐらいになりますか?


佐々木さん(以下、S):関わりとしては、自分の年齢と同じで、57年ほどいます。

今住んでいるのは淀川区ではないのですが、実家が会社の裏手にあったということもあり、生まれてからずっとこのまちに関わっていますね。


O:かなり長いですね。壁を貸してくださることになった経緯は、ご友人から話を聞いたことがきっかけだと伺いました。


S:実は、その友人が小学校からの幼馴染で、淀川区のボランティアをしていたこともあり、友人づてに「区役所の方が絵を描ける壁を探している」という話を聞きました。

ちょうど僕のオフィスは、隣にあるビルが解体して、下地がむき出しの状態になっていたんです。築年数が50年ちかく経っていてかなり老朽化もしていたので、ペンキを塗ることで防水効果にもなると考えて、描いてもらってもいいなと考えていました。


描かれる前の壁


S:プロジェクトの発起人でもあるBAKIBAKIさんは、医療従事者へ感謝と慰労のメッセージを込めて、十三市民病院でミューラルを描かれている、という話も聞いていました。それに生まれてから57年間生活し続けている自分のまちがアートで活気づくなら、という想いもあって、そのまま即答しました。


O:まさかの即答だったんですね!壁に絵を描かれることに対して不安はなかったのでしょうか?

さ:全くなかったですね。特にこだわりはなく、描いてくれるならという感じでした。私自身、美術関系の学校に行っていたこともあり、デザインやアートへの関心があったんです。なので、アーティストさんの力量を信用していて、どんなものが描かれるのかという不安もなく、すんなり受け入れていました。




完成した作品は想像以上。ミューラルから生まれるコミュニケーションとは?


O:では、実際に完成した作品を見て、どんな印象を抱きましたか?


S:元々、どんな絵が描かれるのか事前に確認していたんですが、自分が思っているよりも目立つと感じました(笑)


O:やっぱり事前に見ているスケッチと完成した作品は結構ちがうものでしたか?


S:絵が違うのではなくて、画像で見るものと違って壁に描くとなるとスケールが大きくて、想像以上でした。「結構離れた場所からでもよく見えるなあ」と驚きましたね(笑)


O:周囲の反応はいかがですか?


S:私の友人からは、「あれ、さっさん(佐々木さん)の建物だよね?」とよく話題になったりします。まちの人の反応は、立ち止まって見られていたり、写真を撮っていたり。昨日の夕方ごろにもミューラルを撮影されている方がいらっしゃいましたね。


O:私も来る途中で、ご高齢の方が絵の前で立ち止まって見上げている様子を見かけました。目を引くのはもちろんですが、アートとして楽しんでくださっている様子はとてもうれしいですよね!


S:仕事関係でオフィスに来られる方の中には、建物の画像をわざわざプリントアウトして持ってくる方もいたり(笑)色んな反応がありますね。




O:昔から建物を知っているご家族はかなり驚かれたのではないでしょうか?


S:この建物は、父の代からオフィスとして使われているものをそのまま受け継いでいるのですが、プロジェクトの話を聞く前に、その父が倒れてしまって。かなり長いこと入院していました。コロナウイルスの感染者がとても多い時期だったので、面会も出来ない状況でした。完成後には無事回復することが出来て、車イスに乗った父を連れて壁画で大きく変わった建物を見せに行ったんです。最初はかなり驚いていましたが、「すごいね。よかったね。」と喜んでくれて、とても嬉しかったですね。


O:不安な状況の中、ご協力してくださっていたんですね。ご家族の方にも喜んでいただけて、非常にうれしいです。



「ここに行けば、ミューラルを描ける」アーティストがまちに描くことに挑戦できる環境を作るために


O:佐々木さんの建物に描いた作品をきっかけとして始まった、淀川に壁画を増やすプロジェクト「淀壁」についてはどんな印象ですか?


S:以前までは、この辺ではまちの中にアートを見かけること自体あまりなかったんです。十三や西中島のまち並みはどこかさびれた印象がありました。「淀壁」が始まってから、まちの壁がアートを描くために使われることで活気づいたり、若い人達が見に来るような機会が生まれたり、良い変化を感じますね。


O:では、まちに絵が増えることに関しては、どう思われますか?


S:大歓迎です。

僕としては、合法的にまちに描ける機会を提供できるとより良いなと思います。「このまちに来たら、ミューラルを描くことに挑戦できる」みたいな環境を、お互いに協力し合うことで作れると思うんです。描く人・住む人の相乗効果で、まちを活性化していくことができたら良いんじゃないかなと思います。




実際に目撃したまちの様子


実は、佐々木さんのお話を聞きにオフィスへと向かう途中、絵の前で足を止め上げている様子をちらほら目撃していました。写真では伝わりにくいのですが、遠くからでも目を引くサイズ感とインパクトのある作品は、自然と近くを通る人の注目を集めていました。また、ナイチンゲールが大きく描かれていることもあり、自転車で漕ぎながら十字架を切って祈る人の様子も見られました。淀川に住む人達が色んな形で楽しんでいる様子は、非常に興味深かったです!



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