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ミューラル(壁画)を様々な視点から紹介するメディア

【パートナーインタビュー#02】 杉岡工務店 杉岡さん

WALL SHAREでは、ミューラルをより多くの人に楽しんでいただけるように制作段階からアーティストの制作環境やまちに配慮した現場づくりを大事にしています。


そこで今回は、ミューラルを描く上で欠かせない足場の工事を請け負い、多くの現場を一緒にサポートしてくださっている「株式会社 杉岡工務店」の三代目、杉岡さんにインタビューを行いました。


ミューラルとの出会いは、転勤先の岡山県

WALL SHARE(以下、W):では、杉岡工務店でのポジションについて教えてください。


杉岡さん(以下、S):僕は専務として仕事をしています。会社は祖父の代から50年続いている会社です。仕事内容は、作業の段取り、現場の打ち合わせから見積もり・請求、現場のチェックなど幅広いですね。


W:そんな杉岡さんが、ミューラルと出会ったのは何がきっかけだったんですか?


S:岡山に行ったことがきっかけですね。


W:岡山ですか?


S:僕は大学を卒業後、 すぐに杉岡工務店に入らず、美容系の商材を扱う会社で営業をしてたんですよ。その時に配属されたのが、岡山県で。そこで知り合った「MARKER STUDIO」というショップのの難波くんと色々飲みに行ったりしながら、ストリートカルチャーやミューラルをすごい教えてもらいました。ストリートカルチャーに触れていく中で、自然と繋がりがバアーっと広がっていきましたね。1年半ぐらいしかいなかったんですけど、 めちゃめちゃ仲良い友達がいっぱい出来ました。 ストリートカルチャーを通じて、色んな人に出会って、色んなことを教えてもらったりして、すごく濃い時間でしたね。


W:岡山での経験から、今のミューラルの足場づくりに繋がっているのはすごいですね。


S: そうですね。正直、自分の仕事につながるとはあんまり思ってなかったんですよ。ミューラルは好きだったけど、好きなことが仕事に繋がらなくても別に構わない、ぐらいに思っていたので。今みたいなミューラルを描く足場を作る形で関われている状況に、めちゃくちゃ驚いてます。


W:ちなみに、WALL SHAREと出会うきっかけは何だったのでしょうか?


S:僕らと同じ淀川区をベースに活躍するアーティストのBAKIBAKIさんと繋がりがあって、淀壁(淀川区を舞台にするミューラルプロジェクト)をスタートするタイミングで代表の川添くんと出会いました。僕のInstagramのアカウント画像が、アーティスト・ESOWさんに会社の50周年記念で依頼して描いてもらったイラストで、話も盛り上がりましたね。



ミューラルの足場は、アーティストの描くスタイルによって異なる

W:関西の制作現場では、杉岡さんとご一緒させていただいています。通常の足場とミューラルを描く時の足場には、どんな違いがあるのでしょうか?


S:まず1つ目は、足場と壁の距離ですね。ミューラルは、スプレーで描く人や筆で描く人など、アーティストによって手法が異なります。通常の足場は踏み板を壁から30センチ離して組むのが基本なんですが、スプレーで描くアーティストさんの場合は壁から40センチ。足場が壁から近すぎると塗料が均等にノらなくなってしまうんです。逆に筆で描く場合は壁から10㎝で、近い距離で描けるように調整しています。


2つ目は、安全面ですね。誰が昇っても安全な足場にすることです。 描く人がつまずいて落ちてしまったり、怪我してしまったりしないように、どんな些細なことでも気を付けながら組んでいますね。


3つ目は立地条件です。例えば「淀壁」の際に足場を組んだマンションには住んでる人がいる状態だったり、飲食店の店舗に描く時は、制作中も食べに来るお客さんがいる状態でした。 僕らからすると店舗や住民の方々とは直接的に関わらないけれども、WALL SHAREやアーティストさんにとっては重要な方々なわけですよ。なので、その人たちのことを考えながら足場を組んでいます。


W:お店の看板が見えやすいように配慮して下さったりしていましたよね。


S:そうですね。お店の看板を目がけてくる人もいるわけじゃないですか。足場で隠れて、営業していることが分からずに1人のお客さんが入るのをやめてしまったら、もったいないですよね。そういう部分は実際に現場にいないと分からないこともあるので、人の流れだったりどんな人が通るのかなど、 地域柄も考えながら進めますね。


W:色んな人の視点や立場になって考えてくださっているんですね。


S:そんな大したもんじゃないですけどね(笑)。足場を作る仕事をする上で、どれだけ相手のことを考えられるかが大事なんです。相手の立場になって物事を考えると、自分とは異なる考え方に出会えるんです。僕は、そこから気づきを得ることが多いですね。例えば、「なんであの人はこんな事を言ったんだろう?」、「なんでお客様はこう思ったのか?」のような疑問点に向き合うことで、相手の本心を見つけることが出来ると思っています。


W:今までで一番印象に残っているミューラルの現場はありますか?


S:くら寿司さんですね!やっぱり自分が組んで、携わった現場だったので。建物もデコボコしていて、回るお寿司のオブジェがあったり、電飾や大きな看板もある特殊な建物でしたね(笑)。くら寿司さんの現場では2つのポイントに注意していました。

1つ目は、制作中でも作品が見えやすいような足場を組めるよう考えたことです。お店の場所が、通天閣のすぐ近くにある、人通りの多い所にあったんです。制作風景も楽しんでいただけるよう、足場の組み方に気を付けていました。


2つ目は、限られた時間の中で完成させることですね。あの時は夜間帯での一発勝負で、次の日からアーティストのKACさんが描く予定になっていたので失敗できないという緊張感はありました。足場の下を通行人の方やお客様が通ったりすることを想定しながら、描きやすい且つ安全な足場を組みました。KACさんは、スプレーで描くスタイルなので、大量のスプレー缶を運べるようにロープを垂らして運べるような工夫もしましたね。


W:あの時は、雨続きだったので屋根まで付けてくださっていましたよね!本当に助かりました。


S:あ、そうそう。途中、KACさんが制作している様子を見に行ったんですが、もうずっと壁に向き合って没頭しながら描いている様子がカッコよかったんですよね。僕も、まだまだ足場に向き合えてないよなってその時に思って、もっと突き詰めていきたいなってすごく感じました。


1人のアーティストが描いた作品から生まれる「繋がり」


W:ミューラルの制作現場はよく見に行かれるんですか?


S:WALL SHAREの制作現場は大体(笑)。先日は横浜の関内にも見に行きましたね。後は、岡山ですね。最近だと、アーティストのMIZYUROさんが奉還町というまちで制作している様子を見に行きました。そこまでたくさんは行けてないですけど、見たいなと思う時は現場に行くようにしています。


W:なるほど。ミューラルのどういった部分に魅力を感じるのでしょうか?


S:一番根底にあるのは、ストリートカルチャーが好きだという部分から来ています。ですが、今みたいに足場を作る側として関わらせてもらう中で感じるのは「ミューラルを通じて人と繋がれる」ことです。今はSNSで人と簡単に繋がれる時代ですが、ミューラルにはアナログな部分があると思っています。それは、1人のアーティストさんが描いた作品を観に多くの人が集まって、そこから新たな出会いが生まれたりすることがあるからです。それだけミューラルはパワーがあるものだと感じています。実際にミューラルに惹かれて起業したWALL SHAREの川添くんに出会えたこともそうです。しかもそこには年齢も性別も関係ないんです。「淀壁」の時には、お年寄りの方が「めちゃめちゃいいなー!」って話しかけてくれたり、通る人全員が作品を観ていくような光景があったり。そういう人を惹きつけるパワーがミューラルの魅力だなと思いますね。


W:では、最後にWALL SHAREに期待やメッセージをいただけると嬉しいです!


S:2年ほど一緒にやらせてもらっていますが、もう届かない所まで成長してるなっていう感覚がありますね。でもまだまだ上を目指してほしいです。もっとみんなにミューラルのカルチャーを受け入れてもらえるはずだと思うんですよね。代表の川添くんはちゃんと自分の言葉でミューラルの魅力を伝えていける人だと思っているので、突き進んでほしいです。僕個人としても、ミューラルを通じてもっと面白い取り組みや繋がりが生まれるといいなと思います。


W:杉岡さん、ありがとうございました!

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